再エネ電源で期待される太陽光発電

ニッポンの主力再エネ電源、
太陽光発電の果たすべき役割

2050年、カーボンニュートラルの実現へ
産業用太陽光発電

太陽光発電は主力の再生可能エネルギー電源として普及が進み、すでに設備容量にして60GW以上に及ぶ太陽光発電所が稼働しました。それでもなお、さらなる導入拡大が期待されているはなぜでしょうか。

世界各国が人為的な二酸化炭素の排出量を森林などの吸収量以下に抑える“カーボンニュートラル(脱炭素社会)”を目指すなか、日本の政府も2020年10月に、2050年までにカーボンニュートラルを達成する方針を固めました。これにより、再生可能エネルギーの導入拡大を早急に進めていかなければならず、どの再エネ電源をどの程度導入していくべきかという細かい議論こそあっても、主力の太陽光発電に関しては普及をさらに加速させていかなければならないでしょう。なぜなら、すでに太陽光発電は再エネのなかで発電コストが最も安く、今後さらにコスト競争力が高まる可能性があるからです。

国内の再生可能エネルギーの導入量からもわかるように、太陽光発電が最も普及した再エネ電源です。

 

全電源で太陽光が最安⁉

もっとも、発電コストとは、電源の設備導入費と運転維持費、二酸化炭素対策費、燃料費の和を、その電源の生涯発電量で除した値で、LCOE(均等化発電原価)や限界費用などとも言われます。たとえば、20年間稼働して100万kWhの電力量を生む電源があったとして、電源の初期導入費と20年の運転維持費、二酸化炭素対策費、燃料費の合計が1500万円だったならば、その電源の発電コストは1500万円を100万kWhで除して求められる15円/kWhです。つまり、電源の耐久性や発電効率が大幅に向上するか、初期導入費などが劇的に低減するなどの技術革新が起こらない限り、発電コストはなかなか下がらないのです。

にもかかわらず、事業用太陽光発電は、2010年時の30.1~45.8円/kWhから2020年時には12.9円/kWhへ、10年間で実に3分の1近くまで発電コストが低減しました。2012年7月に始まったFIT(再エネの固定価格買取制度)によって太陽光発電所の開発が過熱し、発電事業者が急増したことで、異例のコストダウンが実現したのです。事実、FITの認定を受けた再エネ発電設備の実に9割が太陽光発電という状況が長く続きました。

そして今、経済産業省は、最安の再エネである太陽光発電が2030年には最安の電源になると想定しています。火力発電や原子力発電の発電コストを下回る可能性があると見ているのです。

ただ、海外では状況がやや異なります。IRENA(国際再生可能エネルギー機関)によれば、最安の再エネ電源は、発電コストが0.039米ドル(約4.29円)/kWhの洋上風力発電だそうです。太陽光発電は、水力発電に次ぐ第3位で、発電コストは0.057米ドル(約6.27円)/kWhと公表しています。

カーボンニュートラル実現に向けて、再エネ電源を10倍規模で増やす必要がある中、現実的な選択として太陽光発電の果たすべき役割が大きいことがわかります

 

 

さらに10倍規模の再エネが必要

日本でも洋上風力発電に対する期待は大きいのですが、開発はまだまだ始まったばかりです。しかも、洋上風力発電を今後大量に導入するには、物理的にFITの継続が欠かせませんから、国民負担の増大という課題に直面します。カーボンニュートラル実現とはいえ、電気代が上昇し、国民の家計が圧迫され続けるようなことが起これば、FITは社会的に受け入れられません。

つまり、国民の負担増を招かないコスト競争力に優れた再エネ電源を普及させていくことが最善であり、その点において、選択肢は益々、太陽光発電一択に絞られるのです。何よりも、太陽光発電は、間もなくFITがなくとも普及する水準にまで発電コストが下がっているわけですから。

再エネのシンクタンク、自然エネルギー財団は、カーボンニュートラルの実現に向け、現在の10倍超に及ぶ700GW以上の再エネ電源が必要だと推定しています。日本の年間電力消費量が約1000億kWhにのぼるため、それらすべての電力需要を賄う再エネ電源がなければ、カーボンニュートラルは達成できないというわけです。改めて太陽光発電の果たすべき役割は非常に大きいことがわかります。

再エネ電源⁻太陽光発電

 

カーボンニュートラルの実現へ

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